東京都盲ろう者支援センター

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福島智さん(写真)

光と音を紡ぐ指

東京盲ろう者友の会顧問
東京大学教授 福島 智(全盲ろう)


私の記憶に残るもっとも鮮明な映像とはなんだろうか。雨上がりの午後、空にいつのまにか現れた不思議な光彩。生まれて初めて見たあの虹のスペクトルだろうか。私の胸に残るもっとも鮮やかな音の記憶とはなんだろう。何かを呟くように、常に変化し続ける瀬戸内の潮騒か。それとも、玄関の虫かごの中で突如鈴虫が奏でだした透明な光沢をおびた、あのリーンという歌声だろうか・・・。

こうした「光」と「音」のすべてを私は失った。9歳ですでに失明していた私は18歳で聴力もなくして、「全盲ろう者」となったのだった。

「永遠に続く静かな夜の世界」に閉じこめられた私を救ったものは、母が考案した「指点字」という新たなコミュニケーション手段であり、それを用いて私に語りかけてくれた多くの友の存在だった。

あれからおよそ30年。私の手にどれほどの数の人たちが触れ、私の指にどれほど多くのことばを綴ってくれたか分からない。もはや夕日は見えず、モーツァルトは聞こえないけれど、心にとどく輝きとハーモニーがある。盲ろう者に手と指を使って、「光」と「メロディ」を伝えてくれる人々の支援を私たちは待ち望んでいる。