盲ろう者のコミュニケーション方法

盲ろう者それぞれが使用するコミュニケーション方法は
障害の状態や、盲ろうになるまでの経緯により異なります。

触る

手書き文字

盲ろう者の手のひらに指先などでひらがなやカタカナ、漢字などを書いて言葉を伝える方法です。盲ろう者の指をとり、机や手のひらの上に一字ずつ書いていくという方法もあります。多くの盲ろう者は手書き文字によるコミュニケーションを取ることができます。

触手話(触読手話)

話し手が手話を表し、盲ろう者がその手に触れて伝える方法です。この方法が難しい盲ろう者の場合、話し手が盲ろう者の手指を持って、手話の単語に形作っていく方法もあります。

点字筆記

点字の触読が可能な盲ろう者は、点字を読み取ることでコミュニケーションを取ることがあります。「ブリスタ」というドイツ製の速記用点字タイプライターで打ち出したり、コンピュータと接続した点字ディスプレイに出力する方法などがあります。

指点字

盲ろう者の指を点字タイプライターの6つのキーに見立てて、左右の人差し指から薬指までの6指に直接打つ方法です。

指点字表(パーキンス式)

ローマ字式指文字

アメリカ式アルファベット指文字をローマ字表記で表し、盲ろう者の手に触らせて伝えます。この方法は、手の動きが少なく、少ない数の文字で表現できる利点があります。また、ローマ字式の母音と子音の組み合わせは、点字の構成に共通する部分が多く、点字学習の導入として応用できることから、盲ろう児の教育に多く使われています。

ローマ式指文字表(受信者に向けて)

出典:全国盲ろう者協会「盲ろう者への通訳・介助」

触る・見る

日本語式指文字

聴覚障害者の間で広く使われている日本語式指文字を、盲ろう者は残った視力で見たり触れたりすることで読み取ります。日本語式指文字だけを用いて通訳を受ける盲ろう者もいますが、手話と一緒に補助的に使われることがほとんどです。

日本語式指文字表(相手から見た形)

見る

文字筆記(筆談)

視覚活用が可能な盲ろう者に対して、紙にペンで文字を書くなどして伝える方法です。盲ろう者の見え方に合わせて筆記具の種類や太さ、文字の間隔や大きさなどを変えていく必要があります。紙にペンで書くほか、筆談ボードやタブレット端末などを使用することもあります。

文字筆記(パソコン)

視覚活用が可能な盲ろう者に対して、パソコンで文字を入力して伝える方法です。入力者のパソコンを直接見る方法のほか、専用ソフト(IPtalk)を利用したり、離れた場所にいながらオンライン上で文字通訳を受ける方法もあります。

弱視手話

「視力が低下している」「視野が狭い」といった視覚障害の状態に合わせ、話し手との距離や手を動かす幅を調整することによって、手話を目で読み取る方法です。まぶしさを強く感じる見え方の人の場合、照明や陽光などの光源の位置・方向または服装や背景に配慮する必要があります。

聴く

音声

聴覚活用が可能な全盲難聴や弱視難聴の盲ろう者に対して、耳元や補聴器のマイクなどに向かって話す方法です。盲ろう者の聴力や聞こえの状態により、音量や声の抑揚、速さなどに配慮する必要があります。